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スチームトラップの選定
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復水排出能力の決定に関する留意事項
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スチームトラップの復水排出能力はその出入り口の圧力差によって一義的に決まり、メーカが提供するスチームトラップの流量表などで確認できます。しかしながら、装置等の使用圧力は、負荷変動が極めて小さいものを除いて変動を繰返すものです。
そのため、先の「スチームトラップの入口圧力」でも述べたように、スチームトラップの復水排出能力を決定する際には、使用圧力のみで決めてしまうのではなく、その装置等固有の(又は特徴的な)圧力変動を把握する必要があります。
ここに、圧力変動による不具合例として、温度調整弁を用いた熱交換器の運転について説明します。図 3.7 において、調整弁は、熱交換器で加熱された被加熱物の出口温度に応じてその開度を調節し、それによって供給蒸気量を調節して出口温度を一定に保つように作動します。
調整弁の開口部が絞られて蒸気量が減少すると、熱交換器内の圧力も低下します。それに伴い、スチームトラップの排出能力も低下しますが、この時に復水を十分排出できなければ復水が熱交換器内に滞留して伝熱面を浸し、実質的に伝熱面積が減少します。それによって被加熱物の温度が低下し、調整弁の開度が増して供給蒸気量が増えます。熱交換器内の圧力も上昇するためスチームトラップの排出能力も増し、復水が十分排出されます。熱交換器の出口温度が上昇すると、再び調整弁が絞られます。
この繰り返しは、温度センサの検出感度や調整弁の応答速度の性能限界から、温度制御に遅れが生じ、場合によっては明らかに安定性を欠いたハンチング現象を招きます。
このような不具合を起こさないよう、装置等の実際の最低使用圧力を把握し、特に厳しい温度制御が要求される場合には、その圧力に対して十分余裕の能力をもつスチームトラップを選定しなければなりません。
尚、このような装置に用いるスチームトラップは、発生する復水を速やかに排出するタイプであるフロート式トラップかバケット式トラップが適切です。
図 3.7 蒸気加熱式熱交換器