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スチームトラップの機能と作動
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スチームトラップの作動
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ここでは、スチームトラップの各タイプについて、その構造と作動の仕方について説明します。
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バケット式トラップ
図 2.1 下向きバケット式トラップ
図 2.2 バケット式トラップの作動
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(1) 蒸気の通気初めは、低温の復水や空気がスチームトラップに流れ込みます。このとき、バケットは本体内の底部に位置して上部の弁孔は全開状態となっています。復水はその弁孔から、そして空気はエアベントを通して弁孔から速やかに排出されます。
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(2) 配管が温まり、排出される復水温度がだんだん高くなっていきます。
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(3) 復水の後には蒸気がスチームトラップへ流入し、それがバケット内の空間を占めながらバケットに浮力を生じさせます。
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(4) バケットが十分な浮力を得て浮上し、それによって閉弁します。
再び復水が流入すると、バケット内の蒸気はエアベントからバケット外へ流出して復水との置換が生じます。バケットは浮力を失って沈み、それによって再び開弁します。以後、同様な開閉弁を繰り返します。
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フロート式トラップ(レバー型)
図 2.3 フロート式トラップ(複座平衡弁機構)
図 2.4 フロート式トラップの作動
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(1) 蒸気の通気初めは、図の上部に位置するエアベントが全開状態にあり、そこから空気が迅速に排出されます。同時に低温復水が本体内を満たしていき、フロートが大きく浮上します。
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(2) その浮力がレバーを通じて弁部に加わり、図の下部に位置する弁が全開して復水を排出します。
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復水温度が上昇し続ける中で初期の空気が抜け切り、やがてエアベントが閉じて高温復水を下部の弁のみから排出し続けます。高温復水の後には蒸気の流入が伴ってきます。
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(3) 復水の発生量が減少すると、フロートはその復水量に合わせて浮き沈みを行い、弁開度を調整しながら復水排出を継続します。
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フロート式トラップ(レバーフリー型)
図 2.5 フロート式トラップ(レバーフリー型)
図 2.5 に示すのは、レバーフリー型のフロートトラップです。レバー付フロートトラップとの違いは、フロート球が同時に弁として機能する点です。作動の仕方については、レバー付フロートトラップと同様のため割愛します。
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サーモスタティックトラップ
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温調式トラップ
図 2.6 温調トラップ
図 2.7 温調トラップの作動
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(1) 蒸気の通気初めは、バイメタル板は平たく、バルブシャフトがスプリングにより押上げられています。このため、弁は全開状態となっており、配管内の冷えた復水や空気が速やかに排出されます。
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(2) 復水の温度が上昇し、バイメタル板が湾曲して、スプリングの押上力に逆らってバルブシャフトを押し下げていき、閉弁に向かいます。復水温度がさらに上昇して設定温度に近づくと、バイメタル板もさらに湾曲して、弁は微開状態となります。
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(3) 復水温度が設定温度に達して完全閉弁します。
以後は(2)の状態を維持、もしくは(2)と(3)を繰返す作動となります。
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ダイヤフラム式トラップ
※ダイヤサーモは、㈱ミヤワキ製ダイヤフラムトラップの感温体の名称です。
図 2.8 ダイヤフラム式トラップ
図 2.9 感温体(ダイヤサーモ)
感温体のダイヤサーモは、図 2.9 に示すように、飽和温度が水より少し低い、水とアルコールの混合液を封入した金属カプセルです。低温時は封入液が液体状態ですが(a)、高温になると蒸発して膨張し、弁部を構成する底面が押し下げられます(b)。温度が下がると再び液化して(a)に戻ります。この膨張収縮により弁を開閉させます。
水と封入液の飽和温度の差は、圧力の変化に対してほぼ一定になるため、使用圧力がどのような値であろうと、それに対する飽和蒸気温度より一定値だけ低い温度で開弁します。
図 2.10 ダイヤフラム式トラップの作動
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(1) 蒸気の通気初めは全開状態となり、低温復水及び空気が迅速に排出されます。
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(2) 復水の温度が上昇すると、ダイヤサーモが膨張して閉弁に向かいます。
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(3) 復水温度が更に上昇し、ダイヤサーモ内の圧力も更に上昇して閉弁します。
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(4) やがて放熱により復水温度が低下するにつれてダイヤサーモ内の圧力が低下し、その圧力が周囲圧力より低くなると再び開弁します。
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以後、同様に開閉弁を繰返します。
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サーモダイナミックトラップ
図 2.11 ディスク式トラップ
図 2.12 ディスク式トラップの作動
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(1) 蒸気の通気初めは、一次側圧力がディスクをその下側から押上げ、低温復水や空気を迅速に排出します。
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(2) やがて高温復水が流入し、その後に蒸気が続きます。
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(3) ディスクとディスクシートの間を高温復水が通過するとフラッシュ蒸気が生じ、一部の復水と共に変圧室を満たします。それによって変圧室の圧力、従ってディスク上側の圧力が高まり、さらに高速の蒸気が通過することによりディスク下側の圧力が低下して閉弁します。
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(4) 再び復水が流入しても変圧室の蒸気が放熱によって凝縮するまでは閉弁を維持しますが、やがて凝縮してその圧力が下がり、ディスク下側の圧力がその上側の圧力に打ち勝って開弁します。
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以後、開閉弁を繰返します。
この開閉作動に関する圧力関係は次の通りです。
ディスク式トラップの一次側圧力、変圧室の圧力、及び二次側圧力を各々P1、P2、 P3 とし、各圧力が掛かるディスク板の面積を各々A1、A2、A3 とします。
図 2.13 開閉作動の圧力関係
図 2.13 より、開弁力には一次側圧力と二次側圧力が寄与し、その力の大きさは各々P1×A1、P3×A3 です。一方閉弁力に寄与するのは変圧室の圧力で、その大きさは P2×A2 です。
従って、弁の開閉はディスクへの力が次式の関係で作用するときに生じます。
開弁:P1×A1+P3×A3>P2×A2
閉弁:P1×A1+P3×A3<P2×A2
作動の説明で述べたように、開弁の力関係が成立するのは、変圧室に圧力が生成 されていない通気初期や変圧室の圧力が蒸気の凝縮によって低下する場合であり、閉弁の力関係が生じるのは、変圧室が復水とフラッシュ蒸気で満たされ、かつ高 速の蒸気が通過することによりディスク下側の圧力が低下するとき、及びその後 の変圧室の圧力が一次側及び二次側圧力による押上げ力を凌ぐ間です。