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蒸気の有効利用とスチームトラップ
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復水回収事例
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復水の回収は、大別してオープン方式とクローズド方式があります。
オープン方式では、回収復水がオープンタンク等に導かれて大気圧に晒されます。このため、復水温度は 100℃以下となり、一部の熱エネルギーはフラッシュ蒸気となって大気へ放出されます。一方、クローズド方式は有圧の回収であり、高温復水のエネルギーを効率よく回収するのに適しています。ただ、回収システムの構築費用は後者の方が大きくなるため、いずれを選択するかは、回収目的や回収規模その他の要素を総合勘案して決定する必要があります。
幾つかの復水回収配管例を示します(各図で省略していますが、ボイラ手前には逆止弁が必要です)。
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給水タンクへの基本的な回収
図 5.3 オープン方式による回収
スチームトラップを介して、その一次側圧力により復水を給水タンクへ圧送しています。
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ラインポンプを用いた回収
図 5.4 ラインポンプを用いたオープン方式による回収
スチームトラップの一次側圧力だけでは給水タンクまで圧送できない場合はラインポンプで中継します。そのため、復水を一旦溜め置くクッションタンクを設置しています。
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復水回収ポンプを用いた回収
図 5.5 復水回収ポンプを用いたオープン方式による回収
スチームトラップからの圧力が低い場合は、復水回収ポンプを用いて、引込力を確保する必要があります。
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ボイラへの有圧回収
図 5.6 クローズド方式による回収
回収復水を有圧タンクから回収ポンプを経由させて直接ボイラへ導いています。ポンプ一次側に過大な圧力がかかったときは、圧力調整弁でその圧力を給水タンクへ逃がしてポンプを保護します。
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フラッシュ蒸気の利用
図 5.7 フラッシュ蒸気の利用と復水回収
回収復水をフラッシュタンクに導いて再蒸発させ、そのフラッシュ蒸気を低圧ラインへ導いて再利用しています。蒸発しなかった復水は他の用途のために更に回収されます。
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汚れた蒸気の再利用
既に述べたように、復水は水処理が施され、蒸留されて得られた純水に近い水です。しかしながら、蒸気システムによっては、蒸気が消費される過程で汚れたり、不純物が混じるなどして汚染されてしまうものもあります。例えば化学反応装置の劣化による化学物質の漏れや、システムを長時間休止した後の運転再開時における装置や配管の錆などが考えられます。
このように汚染された水は、ボイラ給水用には適しませんが、熱交換器その他の生産設備への利用は依然可能です。