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蒸気の基本
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蒸気と復水の気液二相流
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本章の最後に、蒸気配管内の蒸気や復水の流れについて簡単に述べておきます。同一流路内に気相と液相の2つの流体が存在するような流れを気液二相流と 言います。例えば蒸気輸送管内や蒸気分配管内で復水が生じている場合の流れ が該当します。
蒸気と復水の気液二相流の場合、密度の大きい復水が配管底部を流れ、それよ り速度が大きくて軽い蒸気がその上部を流れるものと考えがちですが、実際は、蒸気や復水の速度によって、復水の配管内に占める位置や流れも異なってきます。これに関する詳細は、「気液二相流技術ハンドブック(日本機械学会編)」に掲載されています。
蒸気輸送管内を流れる蒸気速度は一般に 20m/s~40m/s です。この蒸気速度の下での復水流は、同ハンドブックによれば、図 1.6 に示すような環状流か環状噴霧流となり、水平配管でも配管内部の底部のみならず、その側面や上面に接するような流れ方になります。
図 1.6 復水の環状流
蒸気輸送管には、その管内で発生する復水を底部から排出除去するために、一定の間隔で枝管が設けられていますが、このような流れである以上、発生した復水を確実に除去するのは困難です。従って、蒸気がその使用場所に運ばれた時点で、既に幾らかの水分を含んでいると考えるべきです。㈱ミヤワキは日頃より、蒸気使用装置の手前にはセパレータを設置すべきことを強く推奨していますが、その理由はこの点にあります。